大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和33(あ)900 判決

主 文

原判決および第一審判決を破棄する。

被告人を罰金一五、〇〇〇円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三〇〇円を一日に換算した

期間、被告人を労役場に留置する。

理 由

弁護人中尾武雄、同坂上寿夫の上告趣意第一点について。

原審の是認した第一審判決挙示の証拠によれば、被告人の本件賄賂提供の意思表

示が、仲介者Aによつて相手方Bに伝達されたことが明らかであるから、所論は、

原審の認定に副わない事実関係を前提とする判例違反の主張であつて、前提を欠き

採るを得ない。論旨は結局単なる法令違反、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条

の上告理由に当らない。また記録を調べても所論の点につき同四一一条を適用すべ

きものとは認められない。

同第二点について。

所論は判例違反をいうが、引用の判例は、提供した当該の金員そのものの没収に

関するものであつて本件と事案を異にし、本件に適切でなく、採るを得ない。

しかし、職権をもつて審査するに本件犯行当時の刑法一九七条の四(現行法一九

七条の五)により没収または追徴しうるのは、収受した賄賂に限られるものである

が、本件犯行は、原審の是認した第一審判決の認定したとおり「……所得申告納税

につき有利な取扱を受けたき趣旨の下に、その報酬として現金二万円を右Aを介し

て提供し、以つて賄賂の申込をした」というのであつて、右認定の下においては、

右金員は未だ前記刑法一九七条の四の収受した賄賂に当るものということはできな

い。それ故、前記刑法一九七条の四により被告人から金二〇、〇〇〇円を追徴する

ものとした第一審判決およびこれを是認した原判決は、判決に影響を及ぼすべき法

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令の違反があり、これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。よつて、

刑訴四一一条一号により原判決および第一審判決を破棄し、同四一三条但書により、

更に被告事件につき、次のとおり判決する。

原判決および第一審判決の確定した事実に法律を適用すると、被告人の本件所為

は本件犯行当時の刑法一九八条罰金等臨時措置法二条、三条に該当するところ、刑

法所定刑中罰金刑を選択し、所定金額内において被告人を罰金一五、〇〇〇円に処

し、刑法一八条により、右罰金を完納することができないときは、金三〇〇円を一

日に換算した期間、被告人を労役場に留置することとする。

よつて、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

公判出席検察官 稲川龍雄

昭和三四年七月三〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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